建設業者が公共工事に参加するための3ステップ

公共工事を請け負いたいと考える建設業者にとって、「建設業許可」を取得することは最初のハードルであり、重要な一歩です。

しかし実は、建設業許可を持っているだけでは公共工事の入札に参加することはできません。

発注者(国・県・市町村など)が求めるのは、単なる許可だけでなく、経営力や技術力の証明、そして公式な登録です。

つまり、公共工事に本格的に参加し、工事を受注するためには、許可・評価・登録の3段階の手続きを順に踏む必要があります。

このページでは、そうした「公共工事に参加するために必要な3つのステップ」を、初めての方にもわかりやすく、順を追ってご説明します。

STEP
建設業許可の取得 (建設業を行うための“出発点”)

 公共工事に参加するための第一歩は、「建設業許可」を取得することです。
 建設業許可は、建設業法第3条に基づいて定められた制度で、一定規模以上の工事を請け負う場合には、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要とされています。

STEP
経営事項審査(経審)(公共工事入札のための「会社のスコア表」)

 建設業許可を取得しただけでは、すぐに公共工事の入札に参加できるわけではありません。
 その次に必要となるのが「経営事項審査」、通称経審(けいしん)です。

STEP
入札参加資格申請 (公共工事の入札に参加するための「登録手続き」)

 公共工事の入札に参加するためには、建設業許可の取得(STEP1)と経営事項審査(STEP2)を経た後、各発注機関(国・都道府県・市町村)に対して「入札参加資格申請」を行い、有資格者名簿に登録される必要があります

STEP1 建設業許可の取得

建設業を行うための“出発点”

公共工事に参加するには、まず「建設業許可」を取得することが必要です。
この許可は、建設業法第3条に基づいて設けられた制度で、一定規模以上の工事を請け負う業者には法律上の許可が義務付けられています。

▶ どんな業者に必要?

  • 工事金額が500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の請負を行う場合は、原則として建設業許可が必要です。
  • 下請業者であっても、元請からの信用確保のために許可取得が求められることがあります。

▶ 許可の種類

分類内容
知事許可営業所が1つの都道府県内にある場合
大臣許可2つ以上の都道府県に営業所がある場合
一般建設業許可主に下請け中心、軽微な工事が多い業者向け
特定建設業許可元請として、4,000万円以上の下請契約を結ぶ場合に必要

※いずれの許可も、「29業種」に分類された工種ごとに申請する必要があります(例:土木一式、電気工事、解体工事など)。

▶ 許可を取得するための主な要件

建設業許可の取得には、技術力・経営能力・財務基盤・信用性の各側面が審査されます。

  • 経営業務の管理責任者(いわゆる「経管」)がいること
  • 専任技術者を配置できること
  • 誠実性があること(過去に不正行為や重大な法令違反がないなど)
  • 財産的基礎があること(自己資本500万円以上など)
  • 欠格要件に該当しないこと

これらの要件を満たしたうえで、詳細な申請書類や証明資料を整えて、都道府県知事または国土交通大臣宛に申請します。

▶ 許可取得のメリット

  • 信頼性のある企業として評価されやすくなる
  • 元請業者との継続的な取引につながる
  • 公共工事に参加する資格の土台となる
  • 補助金や融資など、事業支援制度の対象になることも

📌 ここがポイント!

✅ 許可を取得してはじめて「経審」や「入札資格申請」へ進めます
✅ 業種ごとに許可が必要なため、参加したい案件に合った許可かどうかを確認しましょう
✅ 要件は年々厳格化傾向にあるため、専門家に早めに相談するのが安心です

STEP2 経営事項審査(経審)

― 公共工事入札のための「会社のスコア表」―

建設業許可を取得したら、次のステップが「経営事項審査(経審)」です。
経審は、公共工事の入札に参加するために必要な会社の評価制度です。
国や地方自治体などの発注機関が、客観的な基準により、建設業者の経営状態や技術力、社会性などを数値化して評価します。

▶なぜ経審が必要?

経営事項審査(経審)は、公共工事に参加するための前提条件となる審査制度です。
この制度により、建設業者の経営状況・技術力・社会的信頼性などが、共通の基準で数値化・評価されます。

国や地方自治体などの発注機関は、この評価結果をもとに、
「この業者はどの程度の工事を任せられるか」「適切な格付けに該当するか」などを判断します。

経審の結果として算出される「総合評定値(P点)」は、
入札参加資格の審査や、参加できる工事のランク・金額規模を決定する上で、非常に重要な指標です。

つまり、P点がなければ入札の土俵に立てない
そして、P点が高ければ高いほど、有利な案件に参加できる可能性が広がる——

それが、経審が公共工事において不可欠な理由です。

▶ 例えばこんな理由…

  • 公共工事を発注する側(自治体・国)は、信頼できる建設業者を選びたい
  • 経審によって、各社の体力・技術力・社会性が数値で比較できる
  • 点数が高いほど、より大規模で有利な工事案件への参加が可能になる

つまり、経審は“公共工事を取るためのスタートライン”に立つための審査なのです。

▶ 評価される項目(審査構成)

評価項目審査内容の概要
Y点(経営状況)財務内容(売上高、利益、自己資本比率など)
Z点(技術力)技術者の保有資格、人数、工事実績など
W点(社会性等)法令順守、労働環境、建退共、表彰実績など
X点(その他)営業年数、防災協定、ISO認証など

※これらを元に「総合評定値(P点)」が決まります。

▶ 審査のタイミングと有効期間

  • 建設業許可を持つ業者のみが申請可能
  • 毎年決算後に、決算変更届(事業年度終了報告)を提出した上で申請します
  • 有効期間は審査日から1年7ヶ月。1年ごとの更新が必要です
  • P点の失効後は、入札への参加ができなくなるため注意が必要です

▶ 経審のメリットと活用例

  • 入札での等級格付けに大きく影響
  • 上位点数を取ることで、大規模な案件に参加できる可能性が広がる
  • 金融機関・発注者との信頼構築にもつながる

📌 ここがポイント!

✅ 経審を受けなければ、入札に参加する資格を得られません
✅ 点数を上げるには、事前準備と正確な書類整備が鍵
✅ P点の有効期間管理と、毎年の更新タイミングを忘れずに

STEP3 入札参加資格申請

― 公共工事の入札に参加するための「登録手続き」 ―

建設業許可を取得し、経営事項審査(経審)で総合評定値(P点)を得たら、
最後に必要となるのが「入札参加資格申請」です。
この申請を行うことで、発注機関ごとの有資格者名簿に登録され、入札への参加権が得られます。

▶ なぜ必要?

  • 入札は、あらかじめ発注機関に登録された事業者のみが参加可能です
  • 建設業許可や経審を受けただけでは不十分で、発注者側への登録申請を行ってはじめて入札資格が得られます
  • 登録された事業者は、等級(格付け)に応じて、参加できる工事の規模・種類が制限されるため、重要なステップです

▶ 対象となる発注機関(申請先)

入札参加資格申請は、参加したい発注者ごとに個別に行う必要があります。

種別主な例
市町村仙台市、石巻市、多賀城市など
都道府県宮城県、福島県、山形県など
国の機関国土交通省、防衛省、農林水産省など

それぞれの機関で、申請の受付期間・必要書類・方法が異なるため、事前確認が重要です。

▶ 申請に必要な主な書類

  • 建設業許可通知書の写し
  • 経営事項審査結果通知書(総合評定値通知)
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 納税証明書(国税・地方税)
  • 工事経歴書、施工実績
  • 技術者名簿
  • 暴力団排除に関する誓約書 など

※自治体によっては、電子申請(例:国の機関、「みやぎ電子申請サービス」、「Logoフォーム」)や郵送対応が導入されています。

▶ 有効期間と更新時の注意点

  • 多くの自治体では、入札参加資格の有効期間は2年または3年です
  • 有効期限が切れる前に、更新手続きが必要です
  • 更新を忘れると、名簿から除外されて入札に参加できなくなるため、スケジュール管理が重要です

📌 ここがポイント!

✅ 発注機関ごとに申請先・提出書類・申請期間が異なるため、早めの確認と準備が不可欠です
✅ 入札に参加したい全ての自治体・国機関への個別対応が必要です
✅ 有資格者名簿に登録されなければ、入札そのものに参加できません

🧾 各手続きの関係性まとめ(3ステップの全体像)

ステップ手続き名目的提出先
STEP1建設業許可建設業を行うための法的ライセンス都道府県 または 国
STEP2経営事項審査(経審)会社の評点スコア(P点)を取得都道府県 または 国
STEP3入札参加資格申請発注機関ごとの登録申請市町村・都道府県・国など

🔍 補足ポイント:

  • 各手続きは順番に進める必要があり、どれか1つでも欠けると入札に参加できません
  • 経審は建設業許可を取得していなければ受けられません
  • 入札参加資格申請は有効期間(多くは2年)ごとの更新が必要です

🧾 まとめ

  • 工事を受注するための第一歩は「建設業許可」
  • 公共工事を本格的に目指すなら「経審」は避けて通れない
  • 「入札参加資格申請」は発注元ごとに申請が必要

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